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2006年03月02日 (Thu)

Promenade-中華街の休日

横浜中華街の初代「関帝廟」は明治6年に創建され、
歴史の荒波をくぐりぬけて三度の建替えを経て現在の姿に至る。

私と彼は細かな装飾が施された牌楼(門)を見上げた。
朱色の二本の柱の間に真っ赤な大きいぼんぼりが風にゆらめいている。
背景はクリアな青。
(↓ranさん撮影v)
kanei


青と赤のくっきりとした対比の美しさにしばし目を奪われる。
日常で、下から何かを見上げて美しいと思うことは少ない。
だから彼とその非日常を共有できることが嬉しかった。

本殿の香炉に捧げられた線香からだろう
あたりにはそこはかとなく線香の香りが立ちこめている。
本殿に参拝する為には「線香」を500円で購入する。
一年に一回の初詣でせいぜい5円、10円のお賽銭を投げ入れることが
習慣化している私にとっては、500円は高いように感じた。

観光客は門の前で写真をとったり狛犬の頭を撫でたりしている。
本殿まで参拝する観光客は少ないように思えたが
私達は関帝廟の参拝を目的の一つにしてあったので線香を購入し
本殿に進むことにした。

華僑の方と思われる人たちは観光客の人たちの間をすりぬけ
迷いの無い足取りで本殿へ進む。
彼らにとってはここは観光地ではないのだ。

私達の前で線香を購入した華僑の方はさらに金紙を購入していた。
金紙を焚き上げでお布施にするのだ。
燃してしまうのに…もったいない。異文化である。
線香


本殿内へ参拝する前に境内の5つの香炉に線香を一本ずつ捧げる。
身を清め、去年一年間の感謝を述べる。
ここではあくまで感謝とお礼である。
決してお願いごとを唱えるのではない。

「去年一年間の無病息災の感謝とお礼ですぞ。」

受付係りは私達の線香に火をつけながら念を押す。
目が真剣である。ここは観光地でないことを再認識させられる。

捧げる順番も決まっている。その順番に従いながら
ぎくしゃくと三礼しながら一本ずつ線香を香炉に捧げる。

ようやく本殿内へ。
本殿内は正面に神格化した関羽が鎮座しており
納まっている厨子は京劇の舞台を彷彿とさせる。
両脇の厨子も絢爛豪華で、ぐるりと囲む壁画も精密である。
そこかしこに龍がからみ金箔で覆われていてキラキラである。
一種独特なFanaticな雰囲気に圧倒される。

(↓ranさん撮影-ぶれてるvv)
kanusama

それぞれの厨子のまえにはふかふかした拝礼台があり、
膝をついて合掌し三礼する。
私達はカクカクと首を上下に三回振って三礼したが
華僑の方はまるでメッカに向かって礼拝するイスラム教徒のように
一回一回立ち上がりながら三礼する。

彼らが呟いている言葉が分からない。
ここでは私が異邦人なんだ…。
なんとなく心細くなって横目を開けて彼を伺うと
彼はそっと目を閉じて何事かを真剣にお願いしている。
何気なさを装って彼の手を握る。力強く握り返されて安堵した。
異邦人なのは私ひとりじゃない。

住所氏名生年月日を告げて心願成就のお願いをする。

健康な体を与えられてることに感謝いたします。
このまま大病しないようにお守りください。
今年一年も仕事が順調でありますように。
彼との円満を感謝いたします…。

どの神明にも同じことを願った。
自然と湧き出た想いだった。
自分の中で特段の峻別作業があったわけではない。

それなのに現状の感謝の念に尽きたことに驚いた。
それが至上の幸せのように感じた。

異郷に身を置くと、とてつもなくピュアな気分になりませんか。
赤面ものの詩を作ってみたくなったり…望郷の気持ちに駆られたり。

自分と向き合っちゃうのかもしれない。
このときの私もそうだった。

(↓ranさん撮影)
本殿

本殿を後にして振り返ると立ち昇る線香の煙の奥に
5つの神明が私を見つめているのが分かった。

どうかどうか神様、私から彼を奪わないで。
大きな力が二人を引き裂いてしまったらお願いです。

関羽が劉備と張飛と義兄弟の契りを交わし
お互いに忠誠を誓い合った[桃園の誓い]をぼんやり思った。
生まれた日時は違うけれど死す時は同じ時を願う。

願うは同年同月同日の死。

神様どうか彼と一秒でも長く一緒にいさせて下さい…。
彼がいなくては死んでしまうのと同じです。

私から彼を取り上げないで。

一つの願いは届いていますか。
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